吾輩は猫である78

吾輩は猫である78

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「ほんとに残念な事を致しましたね。始めはちょいと風邪を引いたんでございましょうがねえ」
“真是太可惜了。原本只是稍微有点感冒啊。”

「甘木さんが薬でも下さると、よかったかも知れないよ」
“如果甘木医生能给开点药,没准也能好了。”

「一体あの甘木さんが悪うございますよ、あんまり三毛を馬鹿にし過ぎまさあね」
“说起来还是甘木不好,他根本没把三毛当回事。”

「そう人様の事を悪く云うものではない。これも寿命だから」
“不要随便说别人的坏话。这都是命。”

三毛子も甘木先生に診察して貰ったものと見える。
看来三毛姑娘也让甘木医生看过病。

「つまるところ表通りの教師のうちの野良猫が無暗に誘い出したからだと、わたしは思うよ」
“说到底还是街口那个教师家的野猫在使坏,它总勾引三毛出去。”

「ええあの畜生が三毛のかたきでございますよ」
“就是!那只畜生真是三毛的大敌呀”

少し弁解したかったが、ここが我慢のしどころと唾を呑んで聞いている。話しはしばし途切れる。
我真想冲过去为自己辩解一番,可惜这时候只能忍着,便咬牙继续听。谈话声断断续续。

「世の中は自由にならん者でのう。三毛のような器量よしは早死をするし。不器量な野良猫は達者でいたずらをしているし……」
“生死在天呀。三毛这么标致的猫,偏偏早夭,那只像丑八怪一样的野猫,却还在世上兴风作浪……”

「その通りでございますよ。三毛のような可愛らしい猫は鐘と太鼓で探してあるいたって、二人とはおりませんからね」
“您说得太对了。像咱们三毛这么可爱的猫,就是打着灯笼,都找不出第二个人来。”

二匹と云う代りに二たりといった。下女の考えでは猫と人間とは同種族ものと思っているらしい。そう云えばこの下女の顔は吾等猫属とはなはだ類似している。
不说第二只,而是说第二个人。这个女仆果然把猫和人看成同一类了。这么想来,女仆跟咱们猫族长得还真有点神似。

「出来るものなら三毛の代りに……」
“如果可以的话,真想让它代替三毛……”

「あの教師の所の野良が死ぬと御誂え通りに参ったんでございますがねえ」
“如果是教师家的野猫死了,就真的是天遂人愿了。”

御誂え通りになっては、ちと困る。死ぬと云う事はどんなものか、まだ経験した事がないから好きとも嫌いとも云えないが、先日あまり寒いので火消壺の中へもぐり込んでいたら、下女が吾輩がいるのも知らんで上から蓋をした事があった。その時の苦しさは考えても恐しくなるほどであった。白君の説明によるとあの苦しみが今少し続くと死ぬのであるそうだ。三毛子の身代りになるのなら苦情もないが、あの苦しみを受けなくては死ぬ事が出来ないのなら、誰のためでも死にたくはない。
怎么就天遂人愿了,这话我可真不爱听。死到底是怎么回事儿,因为还没经历过,所以说不上是喜欢还是讨厌。不过前几天因为天气太冷,我钻到灭火罐里取暖。女仆不知道我在里面,也没看看就把盖子盖上了。当时的痛苦,现在回想起来还会有点后怕。据小白说,如果时间再久一点我必死无疑。虽然我还挺乐意替三毛去死的,但是如果非要经历这么一段痛苦的过程,无论是为了谁我都不想死。
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