山梨6

山梨6

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 三疋(さんびき)はぼかぼか流(なが)れて行くやまなしのあとを追(お)いました。
 その横(よこ)あるきと、底の黒い三つの影法師(かげぼうし)が、合せて六つ踊(おど)るようにして、やまなしの円(まる)い影(かげ)を追(お)いました。
 間(ま)もなく水(みず)はサラサラ鳴(な)り、天井(てんじょう)の波(なみ)はいよいよ青(あお)い焔(ほのお)をあげ、やまなしは横(よこ)になって木の枝(えだ)にひっかかってとまり、その上には月光(げっこう)の虹(にじ)がもかもか集(あつ)まりました。
『どうだ、やっぱりやまなしだよ、よく熟(じゅく)している、いい匂いだろう。』
『おいしそうだね、お父さん』
『待(ま)て待(ま)て、もう二日(ふつか)ばかり待(ま)つとね、こいつは下へ沈(しず)んで来る、それからひとりでにおいしいお酒(さけ)ができるから、さあ、もう帰(かえ)って寝(ね)よう、おいで』
 親子(おやこ)の蟹(かに)は三疋(さんびき)自分(じぶん)等(ら)の穴(あな)に帰(かえ)って行きます。
 波(なみ)はいよいよ青(あお)じろい焔(ほのお)をゆらゆらとあげました、それは又(また)金剛石(こんごうせき)の粉(こな)をはいているようでした。

        *

 私(わたし)の幻(げん)燈(とう)はこれでおしまいであります。

 

三只螃蟹朝着被水冲走的山梨的方向追了过去。

  当它们排成一排横着前行时,水底下同时出现了列成一排的三个倒影,这六个排得整整齐齐的黑影舞动着,追赶着前面山梨那个圆圆的影子。

  不一会儿,水哗哗地响了起来,水面的波浪掀起了蓝色的火焰,山梨被一根横长着的树枝卡住了,停了下来,沐浴在一片月光照出的彩虹之中。

  “怎么样,果然是山梨吧!熟透了的山梨啊,是不是特别香?”

  “好像很好吃呀,爸爸!”

  “等一下,等一下,别着急,再过两天,它就会沉下来的。到时候这片水就会被酿成醇香的美酒啦!走吧,回去睡觉吧,来呀!”

  波浪掀起的银白色火焰摇得更加厉害了,像是吐着金刚石的粉末。


        * 

 我的幻灯到此结束。


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