歌時計3
するとふいに、男(おとこ)の人(ひと)のポケットから美(うつく)しい音楽(おんがく)が流(なが)れだしたので、ふたりはびっくりした。男(おとこ)の人(ひと)はあわてて、ポケットを上からおさえた。しかし、音楽(おんがく)はとまらなかった。それから男(おとこ)の人(ひと)は、あたりを見まわして、少年(しょうねん)のほかにはだれも人がいないことを知ると、ほっとしたようすであった。天国(てんごく)で小鳥(ことり)がうたってでもいるような美(うつく)しい音楽(おんがく)は、まだつづいていた。
「おじさん、わかった、これ時計(とけい)だろう」
「うん、オルゴールってやつさ。おまえがねじをさわったもんだから、うたいだしたんだよ」
「ぼく、この音楽(おんがく)だいすきさ」
「そうかい、おまえもこの音楽(おんがく)知(し)ってるのかい」
「うん。おじさん、これ、ポケットから出(だ)してもいい?」
「出(だ)さなくてもいいよ」
すると、音楽(おんがく)は終(お)わってしまった。
「おじさん、もう一ぺん鳴(な)らしてもいい?」
「うん、だアれもきいてやしないだろうな」
「どうして、おじさん、そんなにきょろきょろしてるの?」
「だって、だれかきいていたら、おかしく思(おも)うだろう。おとながこんな子どものおもちゃを鳴(な)らしていては」
「そうね」
そこで、また男(おとこ)の人(ひと)のポケットがうたいはじめた。
ふたりはしばらくその音(おと)をききながら、だまって歩(ある)いた。
音乐钟表3
然后突然从男人的兜里传出来了美妙的音乐,两个人都吓了一跳。男人赶紧把手捂在兜上。但是音乐并没有停止。然后男环顾四周确认了除了少年没有别人之后,松了一口气。美妙的音乐,像天国里的小鸟歌唱一样,还在响着。
“叔叔我知道了,这个是钟表,对吧?”
“没错,这个就是一个叫八音盒的东西,因为你刚才碰到了旋钮,所以就响了呀。”
“我最喜欢这首曲子了”
“是吗?你也知道这个曲子吗?”
“嗯,叔叔,可以把他多里兜里拿出来吗?”
“不用拿出来也可以哦”
然后,音乐停了。
“叔叔能让它再响一次吗?”
“嗯,没有别人在听吧。”
“叔叔,你干嘛那么鬼鬼祟祟的呀?”
“因为被别人听到了会觉得很奇怪呀,一个大人竟然玩这种小孩的玩具。”
“说的也是。”
于是,男人的兜里又传出了音乐。两个人静静的听着音乐往前走。
日文:新美南吉
翻译:郑老师
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