東京国立博物館（前編）

K-田中さん、こんにちは。

T-こんにちは、上野まで来ていただいてすみません。

K-おいしものを食べられるのなら、お安い御用ですよ。

T-それはお約束できないかもしれません。今日は博物館にご一緒いただこうと思っています。

K-一気に力が抜けそうです。おなかを空かせてきたのに食べられないとなると、途中で動けなくなってしまうかもしれません。

T-博物館の中にも食事をするところはあるようですから、そこでご馳走しますよ。

K-それを聞いて安心しました。行きましょう。
あれ、向こうに見えるのは動物園ですね。

T-そうです、上野動物園です。パンダの赤ちゃんが産まれていますから見たいところですが、まだ見られないようですから、また今度にしましょう。

K-パンダは中国の動物で、なんだか親しみがあるんです。ぜひ今度お願いします。

T-わかりました、こちらに行きますよ。

K-これは大きな建物ですね。

T-でも、私が中国で天安門を見たときは、もっと驚きましたよ。歩いて近づこうとしてるのに、なかなか近くには行けなくて、それだけ大きなものなんだって驚いたのを覚えています。

K-確かに中国の建物などに比べると小さいけれど、日本の建物としては結構大きいですね。あの門を入ればいいんですね？

T-ごめんなさい、敷地内に入る前に見ておきたいものがあるんです。こちらに行けばすぐのはずです。

K-これですか？　古いつくりの門ですね。

T-ここに説明書きがありますが、江戸時代末期のもののようです。何度か移転してここに保存されたんですね。

K-運のいい門ですね。

T-それはいい表現ですね。東京は第二次世界大戦で空襲に遭うなどして、木造の建造物の大半が焼失しましたから、確かに運よく残った感じですね。

K-でもどうして入場する前に来たんですか？

T-門が閉まっていると、外側が見られないと思ったんです。

K-門があいてますよ。

T-本当ですね。せっかくですから、すこし遠くから写真を撮っておきましょう。

K-写真を撮ってもいいんですか？　日本では、だいたいだめだと言われるでしょう？

T-事前に確認したところ、撮影禁止マークが付いた特別なもの以外は、撮影していいそうですよ。

K-それは、ここの博物館だけですか？

T-最近日本の美術館や博物館では、写真撮影を許可するところが増えてきているようです。

K-ようやくという感じもしますね。

T-本当ですね。世界的な感覚から遅れているところがありますね。写真を撮りましたから、中に入りましょう。

K-急ぎましょう。今日は本当に暑い日ですから、どこか涼しいところがいいですね。

T-まずどこかの展示を見ましょうか。中は涼しいですよ。

K-それなら、この東洋館に入りましょう。中国のものも展示されているようですから。

T-行きましょう。

K-うわー涼しい、なかなかいいサービスですね。

T-おそらく、展示品のための温度管理なのでしょうね。

K-そうなんですか？　博物館では人より展示品優先なんですね。

T-そこまでではないでしょう。こちらが入口のようですよ。

K-これも、これも、中国のものがいっぱいですね。
T-ここは東洋館で、アジア地域のものを展示している建物ですが、中国のものはやはり多いですね。順路に沿って見ていきましょう。

K-田中さんは、中国画に興味がありますか？　さっきから中国画ばかりを見ていますね。
T-今度、中国画の展覧会の会場設営などを仕事でやることになりそうなんです。

K-なるほど。それで、まずは博物館の様子を調査しに来たんですね。ところで、その展覧会はどこでやるんですか？

T-この国立博物館の別の建物のロビーを借りてやろうとしています。

K-そうなんでうすか？　それならしっかり調査してください。

T-ありがとうございます。　ここには中国の文化遺産もたくさんありますから、ゆっくり見てください。

K-もうかなり見て回りましたよ。おかげで、お腹が空いてきました。

T-確かにお昼の時間ですね。なにか食べましょう。

K-はい皆さん、今回はここまでです。このあとは次回のお楽しみとしてください。さようなら。

T-さようなら。