女生徒(二十七)

女生徒(二十七)

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 戸端の茱萸《ぐみ》の実が、ほんのりあかく色づいている。もう二週間もしたら、たべられるようになるかも知れない。去年は、おかしかった。私が夕方ひとりで茱萸をとってたべていたら、ジャピイ黙って見ているので、可哀想で一つやった。そしたら、ジャピイ食べちゃった。また二つやったら、食べた。あんまり面白くて、この木をゆすぶって、ポタポタ落としたら、ジャピイ夢中になって食べはじめた。ばかなやつ。茱萸を食べる犬なんて、はじめてだ。私も背伸びしては、茱萸をとって食べている。ジャピイも下で食べている。可笑しかった。そのこと、思い出したら、ジャピイを懐かしくて、

「ジャピイ!」と呼んだ。

 ジャピイは、玄関のほうから、気取って走って来た。急に、歯ぎしりするほどジャピイを可愛くなっちゃって、シッポを強く掴《つか》むと、ジャピイは私の手を柔かく噛んだ。涙が出そうな気持になって、頭を打《ぶ》ってやる。ジャピイは、平気で、井戸端の水を音をたてて呑む。

      井边的茱萸果微微有些红了。再过两个星期应该就能吃了吧。去年很有意思。傍晚我一个人在摘茱萸果吃的时候,恰皮默不作声地盯着,看它可怜就给了它一个。结果恰皮吃了下去。又给了它两个,也吃掉了。真是好玩儿,我晃动树干,果子吧嗒吧嗒落下来,于是恰皮就可劲儿地吃起来。真是个傻瓜。吃茱萸果的狗,第一次见。我也跷着脚摘茱萸果吃。恰皮也在底下吃。太搞笑了。记起这事儿以后就觉得很想恰皮,喊了一声:

      “恰皮!”

      恰皮从前门那边有模有样地跑过来。忽然觉得恰皮如此招人爱呢,用力揪住它的尾巴,恰皮轻轻咬了咬我的手。有一种想哭的冲动,我打了恰皮的脑袋一下。恰皮没当回事儿,出声地喝着井边的水。

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