女生徒(二十二)

女生徒(二十二)

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 放課後は、お寺の娘さんのキン子さんと、こっそり、ハリウッドへ行って、髪をやってもらう。できあがったのを見ると、頼んだようにできていないので、がっかりだ。どう見たって、私は、ちっとも可愛くない。あさましい気がした。したたかに、しょげちゃった。こんな所へ来て、こっそり髪をつくってもらうなんて、すごく汚らしい一羽の雌鶏《めんどり》みたいな気さえして来て、つくづくいまは後悔した。私たち、こんなところへ来るなんて、自分自身を軽蔑していることだと思った。お寺さんは、大はしゃぎ。

   「このまま、見合いに行こうかしら」なぞと乱暴なこと言い出して、そのうちに、なんだかお寺さんご自身、見合いに、ほんとうに行くことにきまってしまったような錯覚を起したらしく、

   「こんな髪には、どんな色の花を挿《さ》したらいいの?」とか、「和服のときには、帯は、どんなのがいいの?」なんて、本気にやり出す。

    ほんとに、何も考えない可愛らしいひと。

   「どなたと見合いなさるの?」と私も、笑いながら尋ねると、

 

   「もち屋は、もち屋と言いますからね」と、澄まして答えた。それどういう意味なの、と私も少し驚いて聴いてみたら、お寺の娘はお寺へお嫁入りするのが一ばんいいのよ、一生食べるのに困らないし、と答えて、また私を驚かせた。キン子さんは、全く無性格みたいで、それゆえ、女らしさで一ぱいだ。学校で私と席がお隣同士だというだけで、そんなに私は親しくしてあげているわけでもないのに、お寺さんのほうでは、私のことを、あたしの一ばんの親友です、なんて皆に言っている。可愛い娘さんだ。一日置きに手紙をよこしたり、なんとなくよく世話をしてくれて、ありがたいのだけれど、きょうは、あんまり大袈裟にはしゃいでいるので、私も、さすがにいやになった。お寺さんとわかれて、バスに乗ってしまった。なんだか、なんだか憂鬱《ゆううつ》だ。バスの中で、いやな女のひとを見た。襟《えり》のよごれた着物を着て、もじゃもじゃの赤い髪を櫛《くし》一本に巻きつけている。手も足もきたない。それに男か女か、わからないような、むっとした赤黒い顔をしている。それに、ああ、胸がむかむかする。その女は、大きいおなかをしているのだ。ときどき、ひとりで、にやにや笑っている。雌鶏。こっそり、髪をつくりに、ハリウッドなんかへ行く私だって、ちっとも、この女のひとと変らないのだ。

      下课后,和寺庙住持家的金子小姐偷偷跑去好莱坞发廊剪头发。剪完之后一照镜子,发现没剪出我要的样子,真是失望。怎么看我都一点儿也不可爱。真可怜。沮丧极了。竟然会来这种地方偷偷地剪什么头发,自己简直就是一只恬不知耻的母鸡,这会儿真是后悔不已。我们竟然会来这种地方,绝对是在侮辱自己。寺庙家的小姐却极度兴奋。

      “就这样直接去相亲吧”,她竟开始说起这样粗鲁的话来,说着说着好像产生了错觉,仿佛她自己已经定下来真的要去相亲了似的。

      “这样的头发上戴什么颜色的花好呢?”“穿和服去的时候配什么样的腰带好呢?”她认真起来。

      的确是一个什么都不考虑的可人儿。

      “要去和哪位相亲呢?”我也索性笑着问她。

      “不都说年糕铺家做的年糕才最好吃嘛,凡事都要找内行。”她一脸正经地答道。“这话什么意思?”我略带惊讶地问。“寺庙家的女儿当然还是嫁到寺庙里去最好啦,一辈子都衣食无忧的。”听到这样的回答,我再次大吃一惊。金子看起来似乎没什么个性,也因此让人觉得她女人味十足。在学校里坐在我邻座,可我对她并没有那么亲近,反而是寺庙家的小姐总拿我和大家说“这是我最好的朋友”之类的。可爱的姑娘。每隔一天就会寄信给我,平日里也很照顾我,对此,我心存感激,但今天她实在是喧闹得太过夸张,我到底觉得有些不爽了。和寺庙家的小姐分开之后坐上了公交车。总觉得非常郁闷。在公交车里看到一个讨厌的女人。穿着一件衣领很脏的和服,乱蓬蓬的红色头发缠在一个发髻上。手和脚也都很脏。长着一张怒气冲冲的红黑色的脸,简直分辨不出是男是女来。再一看,啊,太恶心了。那个女人大着肚子呢。她时不时一个人不出声地笑着。母鸡。我也是,偷偷地跑去什么好莱坞弄头发,和这个女人完全没有任何分别嘛。

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