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男が不思議そうに見ていると、嫁は頭の髪の毛をほぐし始め、頭のてっぺんの髪の毛をかきわけました。 すると頭のてっぺんがザックリと割れて、大きな口が開いたのです。 嫁はその口へ、おにぎりをポイポイポイポイと投げ込んで、米一俵分のおにぎりを全部食べてしまいました。 (あわわわわ。おらの嫁は、化物だ!) 怖くなった男はブルブルと震えましたが、嫁に気づかれない様に天井から降りると、仕事から帰った様な顔をして家の戸を叩きました。 「おい。今、帰ったぞ」 すると嫁は、急いで髪の毛をたばねて頭の口を隠すと、 「あら、おかえりなさい」 と、笑顔で男を出迎えました。 「・・・・・・」
男は家の米俵(こめだわら)が少なくなっているのに気がつきました 「おや? おかしいな。嫁は、ご飯んを食べないはずだし とりあえず男は、嫁に聞いてみましたが、 「いいえ。わたしは知りませんよ と、言うのです あんまり変なので、次の朝、男は仕事に行くふりをして、家の天井に隠れて見張っていました。 すると嫁は倉(くら)から米を一俵かついで来て、どこからか持って来た大きなカマで一度にご飯を炊きあげました そして塩を一升(いっしょう→1.8リットル)用意すると、おにぎりを次々と作って山の様に積み上げたのです 何じゃ? お祭りじゃあるまいし、あんなにたくさんのおにぎりを作って、どうするつもりだ?
むかしむかし、あるところに、とてもけちな男が住んでいて、いつもこう言っていました。 「ああ、仕事は良くするが、ご飯んを食べない嫁さんが欲しいなあ」 そんな人がいるはずないのですが、ある時、一人の女が男の家を訪ねて来て、 「わたしはごはんを食べずに、仕事ばかりする女です。どうか、嫁にしてくださいな」 と、言うではありませんか。 それを聞いた男は大喜びで、女を嫁にしました。 男の嫁になった女は、とても良く働きます。 そしてご飯を、全く食べようとしません。 「ご飯は食べないし良く仕事をするし、本当にいい嫁じゃ ところがある日、男は家の米俵(こめだわら)が少なくなっているのに気がつきました
「あら、おかえりなさい」 と、笑顔で男を出迎えました。 「・・・・・・」 男はしばらく無言でしたが、やがて決心して言いました。 「嫁よ。 実は今日、山に行ったら山の神さまからお告げがあってな、 『お前の嫁はええ嫁だが、家に置いておくととんでもない事になる。はやく家から追い出せ!』 と、言うんじゃ。 だからすまないけど、出て行ってくれんか?」 それを聞いた嫁は、あっさりと言いました。 「はい。 出て行けと言うのなら、出て行きます。 でもおみやげに、風呂おけとなわをもらいたいのです」 「おお、そんな物でいいのなら、すぐに用意しよう」