人间失格-太宰治 第三手记2-8

人间失格-太宰治 第三手记2-8

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ここへ来たのは初夏の頃で、

来到这儿时,还是在初夏时节。


鉄の格子の窓から病院の庭の小さい池に紅い睡蓮の花が咲いているのが見えましたが、それから三つき経ち、庭にコスモスが咲きはじめ、

从镶有铁格子的窗户向外望去,能看见庭院内的小小池塘里盛开的红色睡莲花,又是三个月过去了,庭院里开始绽放出波斯菊花了。


思いがけなく故郷の長兄が、ヒラメを連れて自分を引き取りにやって来て、

这时,意想不到的事情发生了:老家的大哥带着“比目鱼”前来接我出院了。


父が先月末に胃潰瘍でなくなったこと、自分たちはもうお前の過去は問わぬ、生活の心配もかけないつもり、何もしなくていい、

大哥用他惯有的那种一本正经而又不失紧张的语气说道:“父亲在上个月的月末因患胃溃疡去世了。我们对你既往不咎,也不想让你为生活操心费神,你什么都不用做。


その代り、いろいろ未練もあるだろうがすぐに東京から離れて、田舎で療養生活をはじめてくれ、

不过,有一个前提条件,尽管你肯定是依依不舍的,但必须离开东京,回老家去好好疗养。


お前が東京でしでかした事の後仕末は、だいたい渋田がやってくれた筈だから、それは気にしないでいい、とれいの生真面目な緊張したような口調で言うのでした。

你在东京所闯下的祸,涩田先生已大体帮你解决了,你不必记挂在心。” 



故郷の山河が眼前に見えるような気がして来て、自分は幽かにうなずきました。

蓦然间,故乡的山水栩栩如生地浮现在我的眼前。我轻轻地点了点头。 


まさに癈人。

我已完全变成了一个废人。


父が死んだ事を知ってから、自分はいよいよ腑抜けたようになりました。

得知父亲病故后,我越发变得委靡颓废了。


父が、もういない、自分の胸中から一刻も離れなかったあの懐しくおそろしい存在が、もういない、自分の苦悩の壺がからっぽになったような気がしました。

父亲已经去了。父亲作为片刻也不曾离开我心际的、一种可亲又可怕的存在,已经消失而去了,我觉得自己那收容苦恼的器皿也陡然变得空空荡荡的。


自分の苦悩の壺がやけに重かったのも、あの父のせいだったのではなかろうかとさえ思われました。

我甚至觉得,自己那苦恼的器皿之所以曾经那么沉重,也完全是因为父亲的缘故。


まるで、張合いが抜けました。苦悩する能力をさえ失いました。

于是我顷刻之间变成了一只泄了气的皮球,甚至丧失了苦恼的能力。 


長兄は自分に対する約束を正確に実行してくれました。

大哥不折不扣地履行了对我的诺言。


自分の生れて育った町から汽車で四、五時間、南下したところに、東北には珍らしいほど暖かい海辺の温泉地があって、

在从我生长的城镇坐火车南下四五个小时的地方,有一处东北地区少有的温暖的海滨温泉。



その村はずれの、間数は五つもあるのですが、かなり古い家らしく壁は剥げ落ち、柱は虫に食われ、ほとんど修理の仕様も無いほどの茅屋を買いとって自分に与え、六十に近いひどい赤毛の醜い女中をひとり附けてくれました。

村边有五间破旧的茅屋,里面的墙壁已经剥落,柱子也被虫蛀了,几乎无法修缮。但大哥却为我买下了那些房子,并为我雇了一个年近六十、长着一头红发的丑陋女佣。


それから三年と少し経ち、

那以后又过去了三年的光阴。


自分はその間にそのテツという老女中に数度へんな犯され方をして、時たま夫婦喧嘩みたいな事をはじめ、

其间我多次遭到那个名叫阿铁的老女佣奇妙的侵犯。有时我和她甚至还像一对夫妻似的吵架顶嘴。


胸の病気のほうは一進一退、痩せたりふとったり、血痰が出たり、

我肺上的毛病时好时坏,忽而胖了,忽而又瘦了,甚至还咳出了血痰。


きのう、テツにカルモチンを買っておいで、と言って、村の薬屋にお使いにやったら、いつもの箱と違う形の箱のカルモチンを買って来て、

昨天我让阿铁去村里的药铺买点卡尔莫钦[一种烈性镇静安眠药]谁知她买回来的药和我平时服用的那种药,其药盒形状上就大为不同。


べつに自分も気にとめず、寝る前に十錠のんでも一向に眠くならないので、

对此我也没有特别留意,可睡前我连吃了十粒也无法入睡。


おかしいなと思っているうちに、おなかの具合がへんになり急いで便所へ行ったら猛烈な下痢で、

正当我觉得蹊跷时,肚子开始七上八下的,于是急急忙忙地跑进厕所,结果腹泻得厉害。


しかも、それから引続き三度も便所にかよったのでした。不審に堪えず、薬の箱をよく見ると、それはヘノモチンという下剤でした。

那以后又接连上了三次厕所。我觉得好生奇怪,这才仔仔细细地看了装药的盒子,原来是一种名叫“海诺莫钦”的泻药。


自分は仰向けに寝て、おなかに湯たんぽを載せながら、テツにこごとを言ってやろうと思いました。

我仰面躺在床上,把热水袋放在腹部,恨不得对阿铁发一通牢骚。 


「これは、お前、カルモチンじゃない。ヘノモチン、という」

 “你呀,这不是卡尔莫钦,而是海诺莫钦呐。” 


と言いかけて、うふふふと笑ってしまいました。

我刚一开口,就哈哈地笑了。


「癈人」は、どうやらこれは、喜劇名詞のようです。眠ろうとして下剤を飲み、しかも、その下剤の名前は、ヘノモチン。

“废人”,这的确像是一个喜剧名词。本想入睡,却错吃了泻药,而那泻药的名字又正好叫海诺莫钦。


いまは自分には、幸福も不幸もありません。

对于我来说,如今已经不再有什么幸福与不幸了。 


ただ、一さいは過ぎて行きます。

只是一切都将逝去。 


自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。

在我一直过着地狱般生活的这个所谓“人”的世界里,这或许是唯一可以视为真理的一句话。


ただ、一さいは過ぎて行きます。

只是一切都将逝去。 


自分はことし、二十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます。

今年我才刚满二十七岁。因为头发发白的缘故,人们大都认为我已经四十有余。 

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