人间失格-太宰治 第三手记2-2

人间失格-太宰治 第三手记2-2

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またもう一つ、これに似た遊戯を当時、自分は発明していました。それは、対義語当てっこでした。黒のアント(対義語の略)は、白。けれども、白のアントは、赤。赤のアントは、黒。

当时我还发明了另一种与此类似的游戏。那就是反义词的字谜游戏。比如,黑色的反义(反义词的略称)是白色,白色的反义却是红色,而红色的反义是黑色。


「花のアントは?」と自分が問うと、

“花的反义词呢?”我问道。


堀木は口を曲げて考え、

崛木撇着嘴巴,想了想说道: 


「ええっと、花月という料理屋があったから、月だ」

“哎,有一个餐馆的名字叫‘花月’,这样说来,就该是月亮吧。” 


「いや、それはアントになっていない。むしろ、同義語だ。星とだって、シノニムじゃないか。アントでない」

“不,那可不能成其为反义词呐,毋宁说是同义词。星星和紫罗兰,不就是同义词吗?那绝对不是反义词。”


「わかった、それはね、蜂だ」

“我明白了。那就是蜜蜂。” 


「ハチ?」

“蜜蜂?!” 


「牡丹に、……蟻か?」

“莫非牡丹与蚂蚁相配?” 


「なあんだ、それは画題だ。ごまかしちゃいけない」

“什么呀,那是画题呐。你可别想蒙混过关。” 


「わかった!花にむら雲……

“我明白了。不是有句话说,花逢烟云吗?” 


「月にむら雲だろう」

“不,应该是月逢烟云吧?”


「そう、そう。花に風。風だ。花のアントは、風」

“对,对,花与风呐。是风。花的反义词是风。” 


「まずいなあ、それは浪花節の文句じゃないか。おさとが知れるぜ」

“这可太蹩脚了。那不是浪花节[一种三弦伴奏的民间说唱歌曲,类似中国的评弹]中的句子吗?你这下可真是泄漏了老底儿呐。” 


「いや、琵琶だ」

“要不,就是琵琶。” 


なおいけない。花のアントはね、……およそこの世で最も花らしくないもの、それをこそ挙げるべきだ」

“这就更不对了。关于花的反义词嘛,应该是举出这个世界上最不像花的东西才对。” 


「だから、その、……待てよ、なあんだ、女か」

“所以……等一等,什么呀,莫非是女人?” 


「ついでに、女のシノニムは?」

“顺便问一句,女人的同义词是什么?” 


臓物

“是内脏呗。” 


「君は、どうも、詩を知らんね。それじゃあ、臓物のアントは?」 

“你真是个对诗一窍不通的人。那么,内脏的反义词呢?” 



「牛乳」

“是牛奶。” 


「これは、ちょっとうまいな。その調子でもう一つ。恥。オントのアント」

“这倒是有点精彩。按照这个样子再来一个。耻辱的反义词是什么?” 


恥知らずさ。流行漫画家上司幾太」

“是无耻。是流行漫画家上司几太。” 


「堀木正雄は?」

“那崛木正雄呢?”


この辺から二人だんだん笑えなくなって、焼酎の酔い特有の、あのガラスの破片が頭に充満しているような、陰鬱な気分になって来たのでした。

说到这里,我们俩却再也笑不起来了。一种阴郁的气氛笼罩住了我们,就仿佛喝醉了烧酒之后所特有的那种玻璃碎片扎着脑袋似的感觉。


生意気言うな。おれはまだお前のように、繩目の恥辱など受けた事が無えんだ」

“你别出言不逊!我还没有像你那样蒙受过当罪犯的耻辱呐。” 


ぎょっとしました。堀木は内心、自分を、真人間あつかいにしていなかったのだ、自分をただ、死にぞこないの、恥知らずの、阿呆のばけものの、謂わば「生ける」としか解してくれず、

这让我大吃一惊。原来在崛木心中,并没有把我当作真正的人来看待,而只是把我视为一个自杀未遂的、不知廉耻的愚蠢怪物,即所谓“活着的僵尸”。


そうして、彼の快楽のために、自分を利用できるところだけは利用する、それっきりの「交友」だったのだ、と思ったら、さすがにいい気持はしませんでしたが、

他仅仅是为了自己的快乐而在最大限度上利用我罢了。一想到我和他的交情仅止于此,我不禁耿耿于怀。


しかしまた、堀木が自分をそのように見ているのも、もっともな話で、自分は昔から、人間の資格の無いみたいな子供だったのだ、やっぱり堀木にさえ軽蔑せられて至当なのかも知れない、と考え直し

但转念一想,崛木那样对待我也是在所难免的。打一开始我就像是一个没有做人资格的小男孩一样。遭到崛木的蔑视也是理所当然的。


「罪。罪のアントニムは、何だろう。これは、むずかしいぞ」と何気無さそうな表情を装って、言うのでした。

“罪。罪的反义词是什么呢?这可是一道难题哟。”我装着若无其事的表情说道。 


「法律さ」

堀木が平然とそう答えましたので、

“法律。”崛木平静地回答道。 


自分は堀木の顔を見直しました。近くのビルの明滅するネオンサインの赤い光を受けて、堀木の顔は、鬼刑事の如く威厳ありげに見えました。自分は、つくづく呆れかえり、

我不由得再一次审视着崛木的面孔。附近那栋大楼上的霓虹灯闪烁着照耀在崛木身上,使他的脸看起来就像是魔鬼刑警一般威风凛凛。我煞是惊讶地说道:


「罪ってのは、君、そんなものじゃないだろう」

“你说什么呀?罪的反义词不会是那种东西吧。” 


罪の対義語が、法律とは! しかし、世間の人たちは、みんなそれくらいに簡単に考えて、澄まして暮しているのかも知れません。刑事のいないところにこそ罪がうごめいている、と。

他竟然说罪的反义词是法律!或许世人都是抱着那样一种简单的想法而装模作样地生活着。以为罪恶只是在没有警察的地方蠢蠢欲动。


「それじゃあ、なんだい、神か? お前には、どこかヤソ坊主くさいところがあるからな。いや味だぜ」

“那么,你说是什么呢?是神吧?因为在你身上有一种恍若僧侣的东西,真让人讨厌。” 


「まあそんなに、軽く片づけるなよ。も少し、二人で考えて見よう。これはでも、面白いテーマじゃないか。このテーマに対する答一つで、そのひとの全部がわかるような気がするのだ」

“别那么轻易下结论,让我们俩再想想看吧。不过,这不是一个有趣的题目吗?我觉得,单凭对这个题目的回答,就可以知晓那个人的全部秘密。”



「まさか。……罪のアントは、善さ。善良なる市民。つまり、おれみたいなものさ」

“未必吧。……罪的反义词是善。善良的市民,也就是像我们这样的人。” 


「冗談は、よそうよ。しかし、善は悪のアントだ。罪のアントではない」

“别再开这种玩笑了。不过,善是恶的反义词,而不是罪的反义词呐。” 


「悪と罪とは違うのかい?」

“恶与罪难道有什么不同吗?”


「違う、と思う。善悪の概念は人間が作ったものだ。人間が勝手に作った道徳の言葉だ」

“我想是不同的。善恶的概念是由人创造出来的,是人随随便便创造出来的道德词语。” 


「うるせえなあ。それじゃ、やっぱり、神だろう。神、神。なんでも、神にして置けば間違いない。腹がへったなあ」

“真讨厌呐。那么,还是神吧。神,神。把什么都归结为神,总不会有错吧。哎呀,我的肚子都饿了呐。”


「いま、したでヨシ子がそら豆を煮ている」

“良子现在正在楼下煮蚕豆呐。” 


「ありがてえ。好物だ」

“那太棒了。那可是好东西呀。” 


両手を頭のうしろに組んで、仰向にごろりと寝ました。

他把两只手交叉着枕在脑袋后面,仰面躺在了地上。 


「君には、罪というものが、まるで興味ないらしいね」

“你好像对罪一点兴趣也没有。” 


「そりゃそうさ、お前のように、罪人では無いんだから。おれは道楽はしても、女を死なせたり、女から金を巻き上げたりなんかはしねえよ」

“说来也是,因为我不像你那样是个罪人呀。即使我玩女人,也决不会让女人去死,我也没有卷走女人的钱财。”



死なせたのではない、巻き上げたのではない、と心の何処かで幽かな、けれども必死の抗議の声が起っても、しかし、また、いや自分が悪いのだとすぐに思いかえしてしまうこの習癖

并不是我让女人去死的,我也没有卷走女人的钱财。只听见我的内心深处某个角落里回荡着这低沉的、但却竭尽全力的抗议之声。随即我又转念想到,那一切都是自己的不是。而这正是我奇特的特性。


自分には、どうしても、正面切っての議論が出来ません。

我怎么也无法与人当面抗辩。

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