第73课、鍵のかかった部屋 伫む男(13)(20170616金曜日)

第73课、鍵のかかった部屋 伫む男(13)(20170616金曜日)

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榎本:大石社長を殺害したあと、犯人はドアに白幕を張り、ガラステーブルとソファを動かし、すべての準備を整え、いったん帰っていきました。
芹沢:遺体を放置して、帰った?
榎本:あまり長い間不在するわけにいかなかったんでしょう。おそらく車を飛ばして、会社へ戻り、仕事を済ませてから12時間後に再び山荘を訪れた。
芹沢:12時間後?
榎本:密室を完成させるために、それまで待つ必要があったんです。犯人が部屋に入った時には、すでに臭気がこもっていたはずです。
それでたまらず窓を開けた。ハエが侵入したのは、この時だと考えられます。遺体は計画どおり、死後硬直で彫像のように硬くなっていました。
犯人は遺体をドアに立てかけ、爪先をテーブルの下に入れて固定し、廊下へ出てから、遺体がずり落ちないよう、慎重にドアを閉めました。
これで犯人のなすべきことは、すべて完了しました。あとは時間が解決してくれます。
芹沢:時間がたつとどうなんだよ?
榎本:死後硬直というのは、顎から上肢、下肢の順に進んでいき、約12時間でピークを迎えたあと、今度は同じ順で次第に緩んでいくそうです。
純子:法医学ってそのことだったんですか。
芹沢:それで?
榎本:立てかけられていた遺体は、上の方からゆっくりと硬直が緩んで、関節が曲がるようになる。
ドアに当たって体重を支えていた首が、次第に前に折れて、肩でドアに接するようになるわけです。
背後の幕はシルクですから、よく滑ります。その後、股関節、膝と硬直が解けると、遺体はドアにもたれながら、
滑り落ちていき、最終的には完全に座り込んだ姿勢になったはずです。わざわざ扉を幕で覆ったのは、このためだったんです。

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