【日语朗读】猫、受け入れる-1 朗读:Seki菇菇

【日语朗读】猫、受け入れる-1 朗读:Seki菇菇

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猫、受け入れる-1


猫にかんして驚いたことは多々あるのだが、猫が寛容であるということにも心底驚いた。


猫は気まぐれで、わがままで、要求が多く、でも人の要求には応えず、つーんとしていると信じていた。


「犬のような女」「猫のような女」という表現が使われるとき、前者は従順(じゅう‐じゅん)で愛情深く、後者はわがままで人をふりまわす、という意味であることが多いように思う。若き日、私は猫の形容を使われたいと心から願う、犬のような人間だった。


そんなふうに、犬猫を飼ったことのない人は、犬と猫を並列させると対極だと思いこんでしまうところがある。犬はいくらでも飼い主を待つが、猫は一秒たりとも待てないだろうと思っていた。


犬はさみしながりで、猫は孤独好きだと思っていた。犬は抱かれても撫でまわされても何をされても許し、猫はさわってほしくないときにさわっただけで怒ると思っていた。


これもまた、私の偏見だったようである。犬と猫を対極に考えるなんて、一昔前の男女観と同じようなことだった。犬のような猫もいれば猫のような犬もいて、きっとウサギのような犬も象のような猫もいるに違いない。


 


トトは怒らない。じつに静かに家にやってきたことはすでに書いたけれど、それからもずーっと静かだ。大きな声で鳴かないし、シャーッもいわない。爪をたてることもない。


移動時、音がしないので、よくぶつかってしまうことがある。私はけぶつかったのだが、トトにしてみれば蹴られた、という感じだろう。


けれどうんともすんともいわず、にょろーっとその場を離れる。トト、ごめんねごめんね、蹴ってごめんね、と追いかけてあやまっても、もうぶつかったことなど忘れたようにふりむいて「?はて」な顔でこちらを見上げる。


水の入った容器を運んでいるとき、トトが私の脚にまとわりついて、水をトトの背にこぼしてしまったことがある。トトはびくりとしたものの、またしても抗議の声を上げることなく、にょろーっとべつの部屋に向かうだけ。


 


寝ているトトのおなかや背中から、何か異様な快楽物質が放たれていて、それにつられて私はよく顔を押しつける。ホワーとなる。トトはそのように顔を埋められることがあまり好きではなく、でも、トトなので、そろーっと寝返りを打ったり、寝る位置をずらして、顔から離れる。


けれどときどき、そんなことも面倒になるのか、顔を埋めても動かないときがある。


トトは毎回おきまりのボールをくわえて「遊んで」と言いにくるのだが、こちらに手の離せない用事があり、要求に応えられないときがある。ごめんねトトちゃん、今忙しいんだよと言い、そのまま作業を続けている。トトはそれ以上催促することなく、ボールを足元に置いたままじーっとこちらを見ていて、ふと気がつくとボールだけ置いて、廊下で寝ている。あきらめるのである。


気まぐれでもなくわがままでもなく、要求ばかりすることもなく、つーんとしていない! そればかりか、トトはたいていのことは受け入れ、そして、許す。受け入れて、許す、というのは、猫の特性なのか、それとも個性か。


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