友情は恋愛と並んで僕らの感情生活に大きな地位を占める要素です まず初めにその似たところを考えてみると、この二つは親兄弟のような血縁と違って、本質的に他人同士の邂逅から生まれるもので、したがってその底には選択と自由意志とがまず前提されています。だからそれは多少にかかわらず独立した人格と反省とを前提としているので、例えば、子供同士の間には、恋愛はもちろん、本当の友情もないわけです。子供は環境が変われば遊び友達もすぐ変わります。そして僕らの小学校時代の同級生などは、その後何かの交渉が続かなければ、名前も顔も忘れてしまうのが普通です。
次にこの二つの人間関係には自然より僕らの意思が多く働いているだけに、永続するよりも、むしろ一時的なのが普通です。生涯変わらぬ友情や恋愛はむしろ幸福な例外でしょう。