【日本の怪談話集】25 ろくろ首を退治した坊さん

【日本の怪談話集】25 ろくろ首を退治した坊さん

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朗読 ことのは
内容 :絵に描いた子どもが、夜になると絵から抜け出して。
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 むかしむかし、あるところに、子どものいない夫婦がいました。
「子どもが欲しい、子どもが欲しい」
と、思い続けて毎日仏さまに願ったところ、ようやく玉の様な男の子を授かったのですが、病気になってしまい、五歳になる前に死んでしまったのです。
 夫婦はとても悲しんで、毎日毎日、泣き暮らしていました。
 でも、ある日の事。
「いつまで泣いとっても、きりがない」
「そうね、あの子の絵をかきましょう」
 夫婦は子どもの姿を絵にかいて、残す事にしたのです。

 それからというもの、父親は座敷に閉じこもって絵筆を持つと、食べる事も寝る事も忘れて一心に絵をかき続けました。
 やがて出来上がった絵は、子どもが遊ぶ姿をかいた、それは見事な出来映えでした。
 二人はその絵をふすま絵にして、我が子と思って朝に晩にごはんをあげたり話しかけたりしました。

 ある晩の事、父親はふっと目をさますと、なにやら気になって子どもをかいたふすま絵を見ました。
 すると絵には子どもの姿はなくて、絵だけを切り取った様に白い跡が残っていたのです。
「絵の子どもは、どこへ行ったんや?」
 朝になって、もう一度ふすま絵を見た時は、子どもは元通り絵の中にいました。
「あれは、夢やったんかな?」
 でも、それからそんな事が何度もありました。
 そしてそれは決まって、月のきれいな晩でした。
 その頃、死んだ子と同じぐらいの年の子どものいる家に、夜中に子どもが遊びに来るといううわさがたったのです。
 何でも寝ている子どもの手を引っ張ったり、髪にさわったりして、
「ねえ、遊んでよ。ねえ、遊んでよ」
と、言うのです。
 これを聞いた夫婦は、
「きっと、うちの子や」
「そうよ。うちの子が、さみしがってるんやわ」
と、思い、ふすま絵にすずめを二羽、かきたしたのです。
 けれどもやっぱり、子どもは座敷に月明かりが差し込みと、どこかへすうーっと出て行くのです。

 ある晩、子どもはいつもの様に出て行って、明け方近くに絵の中へ戻ろうとしました。
 その時、二羽のすずめが絵から羽をパタパタさせて、たたみに飛び降りてきたのです。
 喜んだ子どもはすずめと一緒に縁側から庭に降りて、夜が明けるのも忘れて遊んでいました。
 すると、
 コケコッコー!
と、一番鳥が鳴きました。
 驚いたすずめはどこかへ行ってしまい、子どもも急いで絵の中に戻ろうとしたのですが、庭石につまずいて、ぞうりのはなおが切れてしまったのです。

 さて、朝になって夫婦がふすま絵を見ると、子どもは絵の中にいたものの着物は泥だらけで、ぞうりは片一方しかはいていませんでした。
 そしてもう片一方のぞうりは、ふすま絵のはじっこに転がっており、すずめは白く形だけが残っていました。

 この子どもはそれからも月明かりが差し込むと絵から抜け出し、朝になると顔の向きが違っていたり、切れたぞうりを手に持っていたりしたそうです。

 この不思議な絵は、一九九五年一月十七日の阪神大震災で焼けてしまうまであったそうです。


おしまい

以上内容来自专辑
用户评论
  • xiephoenix

    这篇文字对不上

  • 云胡不疑

    内容:画中的孩子,到夜里就溜出来 很久很久以前,某地,有一对夫妇没有孩子。 “给我个孩子,给我个孩子。”他们每天不断地向佛祖祈求,终于得到个粉雕玉琢的男孩,在五岁之前就得病死了。 夫妇非常悲伤,每天都哭过活。 “这样哭到什么时候是个头呢。” “是啊,我来把孩子画下来吧。” 夫妇俩决定把孩子的样子画出来。父亲把自己关在房间里,废寝忘食地完成了画作,画出了漂亮的孩子玩耍的样子。两人把那画做成隔扇,当成自己的孩子,每天对着它吃饭说话。一天夜里,父亲突然睁开眼睛,看着隔扇画中的孩子。

  • 云胡不疑

    画上没有孩子的身影,只留下白色的痕迹。 “画中的孩子去哪里了?”到了隔天早上再看,孩子依然在画中。 “难道是做梦吗?” 在那之后,每到月光皎洁的夜晚,同样的事发生过很多次。那阵就有了传闻说,有个家里有和死去的孩子年纪相仿孩子的人家,半夜里有个孩子来玩,拉着在睡觉的那家人的孩子的手,摸着他的头发说:“来陪我玩吧~来陪我玩吧~”听到这个消息的夫妇说: “一定是我们的孩子。” “是啊,我们的孩子很寂寞。” 于是,在隔扇画上又画了两只麻雀。可画上的孩子在月光一照进房间的时候遛出去。一天晚上,那孩子像往常一样出去,想在天亮前回到画中。

  • 云胡不疑

    这时,那两只麻雀从画中扑腾着翅膀,跳到了榻榻米上,孩子高兴地和麻雀一起从檐廊走到院子里,玩得连天亮都忘了。 咕咕咯!! 鸡叫了。 麻雀一下就不知跑到哪里去了,孩子想回到画中去,被院子里的石头绊了一下,草鞋断了。夫妇二人早上一看隔扇画,孩子虽然在画里,但衣服上全是泥,草鞋只穿了一只。另一只草鞋在隔扇画的边上滚来滚去,麻雀只剩下白色的形状。传说这孩子在有月光的时候,会从画中溜了出来,到了早上脸的方向就不一样,手里还拿着断了的草鞋。这幅不可思议的画在一九九五年一月十七日的阪神大地震中烧毁了。 故事完