「うん、見事(みごと)じゃ。きっと王様(おうさま)もお気(き)に召(め)すことじゃろ。」
「そうでしょう、そうでしょう?」2人のペテン師(し)はにやにやして言(い)いました。うまく騙(だま)せたことがうれしかったのです。
そう。実(じつ)は二人(ふたり)は機織(はたお)り機(き)で布(ぬの)を織(お)っているふりをしているだけなのでした。大臣(だいじん)が帰(かえ)ろうとすると、2人のペテン師(し)は言(い)いました。「実(じつ)は、絹糸(きぬいと)と黄金(おうごん)が足(た)りなくなってしまって。宝石(ほうせき)も飾(かざ)りに使(つか)いたいのですが…」
大臣(だいじん)は言(い)われた通(とお)りに足(た)りない材料(ざいりょう)を与(あた)えました。2人のペテン師(し)はそれを大事(だいじ)にカバンにしまうと、空(から)っぽの機織(はたお)り機(き)に向(む)かって、せっせと働(はたら)くのでした。
やがて、町中(まちじゅう)でも、その不思議(ふしぎ)な布(ぬの)の噂(うわさ)が広(ひろ)まりました。
「大臣御覧(だいじんごらん)になったそうだ。」
「黄金(おうごん)や宝石(ほうせき)をたっぷりと使(つか)っているらしい。」
「それはそれは美(うつく)しい布(ぬの)だそうだよ。」
噂(うわさ)を聞(き)けば聞(き)くほど、王様(おうさま)は布(ぬの)を見(み)たくてたまらなくなりました。そして、いよいよ布(ぬの)が出来上(できあ)がりそうだという噂(うわさ)を聞(き)くと、大臣(だいじん)と家来(けらい)を連(つ)れて、機織(はたお)り小屋(ごや)へと迎(むか)えました。
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