夏目:先生(せんせい)!
ニャンコ:どうした?
夏目:いや、今先生(いませんせい)、唸(うな)ってなかったか?
ニャンコ:寝坊(ねぼう)ってなのか、夏目(なつめ)。
夏目:まだ痛むのか?
ニャンコ:こんなもの、舐(な)めておけばすぐ治(なお)るわ。
夏目:温泉(おんせん)に行(い)く間(あいだ)は、中級(ちゅうきゅう)たちに先生(せんせい)のことを頼(たの)んでいこうと思(おも)ってたんだけど。
ニャンコ:何(なに)?温泉(おんせん)だと?夏目(なつめ)、私(わたし)に内緒(ないしょ)で温泉(おんせん)と
夏目:ほら、まだ動(うご)かない方(ほう)がいいだろう。
ヒノエ:かりばの湯(ゆ)は妖(あやかし)の傷(きず)には効(き)かぬぞ。
ニャンコ:ヒノエ(ひのえ)、余計(よけい)な事(こと)を
ヒノエ:怪我(けが)をしたというので見(み)に来(き)てやったのに、ご挨拶(あいさつ)だね。どれどれ?うん、呪(まじな)いの矢(や)を受(う)けたのかい?これは長引(ながび)くね。
夏目:そうなのか?先生はすぐ治るって。
ヒノエ:それも嘘(うそ)ではないさ。私(わたし)たちの時間(じかん)ではほんの一瞬(いっしゅん)だ。そうはいっても、斑(まだら)ほどの妖(あやかし)となると、妖力(ようりょく)を取(と)り戻(もど)すのはそれなりにな。これは結構(けっこう)な血(ち)が流(なが)れたようだからね。
夏目:じゃあ、やっぱり、旅行(りょこう)なんて無理(むり)か。俺(おれ)も滋(しげる)さんに謝(あやま)って、こっちに…
ヒノエ:行(い)ってくればいいさ。
夏目:えっ?
ヒノエ:あのあたりに朧草(おぼろそう)という草(くさ)が生(は)えてると聞(き)いたことがある。
夏目:朧草(おぼろそう)?
ヒノエ:普通(ふつう)の人間(にんげん)には見(み)えない妖(あやかし)の薬草(やくそう)で、樹齢何十年(じゅれいなんじゅうねん)も経(へ)た古木(こぼく)に寄生(きせい)して生(は)えるという。すり潰(つぶ)して塗(ぬ)れば、妖怪(ようかい)の傷(きず)に効(き)くのさ。
ニャンコ:まあ、そんなものは必要(ひつよう)ないが、温泉(おんせん)には連(つ)れていけ、夏目(なつめ)!
夏目:分(わ)かった、分(わ)かったよ。正直(しょうじき)に言(い)うと行(い)きたいんだ、旅行(りょこう)。
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