第20話 07:20—11:34
有馬公生:はい。
澤部椿:サンキュー。どうせなら、雪のほうがいいな…
有馬公生:いいなって思うのは積もるまでだよ。
澤部椿:雪に味が付いてたら、世界は平和だよね?
有馬公生:水道水がレモネードだったら、風邪は絶滅だ。
澤部椿:いつもの会話、じゃれ合うような冗談、突然の雨宿り…
有馬公生:椿、かわいいハンカチ使ってるね。
澤部椿:となりには男の子。
有馬公生:椿は女の子みたいだ。
幼少期の有馬公生:椿は女の子だよ。
有馬公生:椿は女の子なんだな。
澤部椿:嘘つき。嫌だったんでしょ?かをちゃんのとこ行くの。渡がいたから。
有馬公生:そんなんじゃないよ。
澤部椿:嘘つき。
有馬公生:だってさ、邪魔しちゃ悪いだろう?せっかく二人でいるのに…
澤部椿:違うよ!公生は嫌なんだ!かをちゃんと渡が笑ってるのが、見てるのが辛いんだ!だから避けるんだ…
有馬公生:椿の我慢なんかすぐわかる。
澤部椿:君が私の側にいたように、私は君の側にいたんだよ。公生のことなんかすぐわかる。公生は… かをちゃんが好きなんだよ。美和が言ってたよ。彼と出会った瞬間、私の人生が変わったの。見るもの、聞くもの、感じるもの、私の風景全部が、カラフルに色付き始めたの。世界が、輝き出したの。
宮園かをり:友人A!
有馬公生:うん…
澤部椿:バッカじゃないの?かをちゃんは渡が好きなんだよ!ずっとそうだったじゃん!あんたが相手にされるはずないじゃん!
有馬公生:知ってる。
澤部椿:女の子関係で、渡が相手なら1ミリも勝ち目なんかないんだよ!
有馬公生:知ってる。
澤部椿:嘘つき。側にいるって言ったくせに。
有馬公生:椿の我慢なんかすぐわかる。
澤部椿:私のこと、何も知らないくせに…嘘つき。私を女の子だなんて、思ったこともないくせに…バッカじゃないの。かをちゃんは、渡が好きなの。あんたは…私と恋するしかないの。
有馬公生:!!!
澤部椿:バ~カ、バ~カ、バ~カ!どうだ、思い知ったか?ざまぁみろ!踏み出してやったぞ、女の子として意識させてやったぞ。私はいっぱい苦しんだんだ…あんたも苦しめ…苦しんで苦しんで、私のこといっぱい考えろ。やっと始まったんだ。でも、どうなっちゃうんだろう…心臓が飛び出そう。冬の雨が気持ちいい。レモネードの味がする。私の時間は、動き出したばかりだ…
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