大隅 良典(おおすみ よしのり)
2013年トムソン・ロイター引用栄誉賞受賞
オートファジー:飢餓状態に陥った細胞が自分自身のタンパク質を分解して栄養源にする自食作用。
3日夜、記者会見での発言
「人がやらないことを研究」が原点
酵母細胞でタンパク質をリサイクルする機能であるオートファジーを発見したのは1988年。「酵母が実際に飢餓に陥ると、オートファジーは自身のタンパク質の分解をはじめる。その現象を光学顕微鏡でとらえたことが出発点」と振り返った。
酵母の研究をはじめたのは、「人がやらないことをやろう」という思いから。「あまり競争が好きではないし、誰も取り組んでいないことをやる方がとても楽しいということが、実はサイエンスの本質ではないか。誰も取り組んでいない分野での発見の喜びが、研究者を支えるのではないかと常々思っている」。
トムソン・ロイター引用栄誉賞受賞発言
最近の若者は安定志向で保守的であると同時に、太鼓判を押したように、『人に役立つ研究がしたい』と言います。そのため、酵母やマウスよりもヒトを研究すべきだというのです。
しかしながら、生命の本質に迫る基本的で重要な問題は、酵母でも解くことができます。逆に、オートファジーのように、顕微鏡で観察できる酵母だからこそ解明できた研究もあります。
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このような中、私が皆さんにお伝えしたいのは、科学の道を志すのであれば、人がまだやっていないこと、そして、自分が心底面白いと思えることをやって欲しいということです。
研究には苦しさが伴います。しかしながら、その研究テーマが自分にとって魅力的で面白いものでさえあれば、たとえ一時期不遇であっても、苦しさは必ず乗り越えることができます。
1度きりの人生です。
傍から見れば、些細なことでも構いません。是非とも、苦しさの先に待っている成功の喜びというものを味わって欲しいですね」
早急な結果を求めがちな風潮にチクリ
「“役に立つ”という言葉が、とても社会をダメにしていると思う。本当に役にたつのは、10年後か20年後か、あるいは100年後かもしれない。社会が将来を見据えて科学を一つの文化として認めてくれるようにならないかと強く願っている」
北川進
2010年 - トムソン・ロイター引用栄誉賞受賞
僕の座右の銘に、2400年前の荘子の「無用之用」という言葉があります。「役に立たないと思えるものも実は役に立つ」という意味です。たとえば、何でもない立方体も、その枠内を「空間」と考えると役立つかもしれないという発想です。
坂口志文
大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授
過剰な免疫反応を抑える制御性T細胞の発見と免疫疾患における意義を解明したことで知られる。
2015年トムソン・ロイター引用栄誉賞受賞
サイエンスに限らず、興味を持てることを見つけて欲しいですね。私も30年コツコツと研究を続けてきたことが今回認められたように、何でもいい、興味のあることをとことん追求していると、思わぬ形で広がり、つながり、自分の人生を豊かにしてくれると思います。
中村修二
2005年トムソンロイター引用栄誉賞受賞。
2014ノーベル賞物理学受賞。
元会社員、電子工学者、工学博士。
青色発光ダイオードや青紫色半導体レーザーの製造方法などの発明・開発者として知られる(高輝度青色発光ダイオードの発明・開発者で、低輝度の青色発光ダイオードは以前からあった)。
社員として務めていた日亜化学工業に対して高額の特許訴訟を起こしたことが有名である。
日本のエンジニアのみなさんには、本当に好きなことをだけをやって欲しい。私自身、青色LEDを発明できたのは、考えることが好きだったからです。だからこそ、時間のある限りどん底まで突き詰めて考え尽くしたんです。その結果、ブレークスルーできた。つまり本当に好きなことであれば、どんな苦労もいとわないはずです。
山中伸弥
日本の医学者。京都大学教授/京都大学iPS細胞研究所所長。
2010年トムソンロイター引用栄誉賞受賞。
2012ノーベル賞受賞
未知なるものの探求は、科学者の個人的興味、好奇心といった要素に大きく依存しながら進められることから、目標達成型のプロジェクトと対比され、学者の道楽のように非難される風潮があることを耳にする。しかし、しょせん、偉大な発見は個人の自由な発想から生まれる。豊かな国とは、個性的研究を育むことができる許容力のある国のことである。
还是我