「これはこれは王様(おうさま)。ようこそおいでくださいました。布(ぬの)は明日(あした)には出来上(できあ)がります。あとは洋服(ようふく)に仕立(した)ててあげるだけですよ。
2人のペテン師(し)の案内(あんない)で、王様(おうさま)は機織(はたお)り機(き)を覗(のぞ)きました。
「どうです、王様(おうさま)?お話(はな)しした通(とお)りの素晴(すば)らしい出来上(できあ)がりでしょう。」大臣(だいじん)が言(い)いました。
王様(おうさま)は心(こころ)の中(なか)で考(かんが)えました。
「なんということだ?わしには何(なに)も見(み)えないぞ。わしは本当(ほんとう)は愚(おろ)か者(もの)なのだろうか。こうなったら、見(み)えているふりをするしかない。」
そして、周(まわ)りのみんなに向(む)かって、大(おお)きくうなずき、こう言(い)ったのです。
「なるほど、なかなか見事(みごと)だ。気(き)に入(い)ったぞ。」
周(まわ)りの家来(けらい)たち口々(くちぐち)に布(ぬの)を褒(ほ)め称(たた)えました。
「とても豪華(ごうか)な布(ぬの)でございますね。」
「王様(おうさま)にこそ、よくお似合(にあ)いでございます。」
だけど、本当(ほんとう)は家来(けらい)たちにも、誰(だれ)一人(ひとり)として、その布(ぬの)が見えたものはいなかったのです。
愚(おろ)か者(もの)だと思(おも)われたくなかったので、みんな見(み)えるふりをしたのでした。王様(おうさま)は、この2人のペテン師に立派(りっぱ)な勲章(くんしょう)を授(さず)けることにしました。
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