女生徒(十)

女生徒(十)

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  神社の森の小路を抜けて、駅近く、労働者四、五人と一緒になる。その労働者たちは、いつもの例で、言えないような厭な言葉を私に向かって吐きかける。私は、どうしたらよいかと迷ってしまった。その労働者たちを追い抜いて、どんどんさきに行ってしまいたいのだが、そうするには、労働者たちの間を縫ってくぐり抜け、すり抜けしなければならない。おっかない。それと言って、黙って立ちんぼして、労働者たちをさきに行かせて、うんと距離のできるまで待っているのは、もっともっと胆力の要《い》ることだ。それは失礼なことなのだから、労働者たちは怒るかも知れない。からだは、カッカして来るし、泣きそうになってしまった。私は、その泣きそうになるのが恥ずかしくて、その者達に向かって笑ってやった。そして、ゆっくりと、その者達のあとについて歩いていった。そのときは、それ限りになってしまったけれど、その口惜《くや》しさは、電車に乗ってからも消えなかった。こんなくだらない事に平然となれるように、早く強く、清く、なりたかった。

  電車の入口のすぐ近くに空いている席があったから、私はそこへそっと私のお道具を置いて、スカアトのひだをちょっと直して、そうして坐ろうとしたら、眼鏡の男の人が、ちゃんと私のお道具をどけて席に腰かけてしまった。


      穿过神社树林中的小路,在车站附近碰到四五个民工。这些民工像往常那样对着我恶狠狠地说些不堪的脏话。我犹豫着不知道怎么办才好。很想超过这些民工,一口气跑到前边去,但那样的话就不得不从民工堆儿里钻过去,不得不从他们中间穿过去。太吓人了。不然呢,难道要默默站住让民工们先过去,一直站到他们走出相当一段距离吗?那样做更需要胆量。那是不礼貌的,有可能会惹怒民工们。心烦得失去理智,快要哭出来了。我觉得快要哭出来这事儿很难为情,就对着那些人笑了笑。然后慢慢跟在那些人后面走着。那个时候只能那样做,但心中的懊恼直到坐上电车都没散尽。真希望自己尽快强大勇敢起来,能够坦然面对这种低级无聊的事。

      电车入口边上有个座位空着,于是我把我的学习用具轻轻放过去,稍微整理了一下裙子褶儿。正要坐下时,一个戴眼镜的男人用力推开我的学习用具坐在了座位上。

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