[日语口语]第53回ニュース＆五月病って知ってる？[日语听力]

専門家会議「新しい生活様式」の実践例示す

日テレニュース5/4(月) 11:55配信より引用・抜粋

専門家会議の提言案では感染拡大防止と社会経済活動を両立させる上で国民が新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を実践する必要があるとしています。
　具体的には、外出はマスクを着用、遊びにいくなら屋内より屋外を選ぶ、人との間隔はできるだけ２メートル、最低１メートル空ける、手洗いは３０秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う、発症したときのため誰とどこで会ったかメモしたりスマホの移動履歴をオンにするなどとしています。
　また、日常生活で買い物は通販や電子決済を利用し、計画をたてて素早くすます、食事の際には料理に集中、おしゃべりは控えめにし、公共交通機関でも、混んでいる時間帯は避けると同時に徒歩や自転車利用も併用することを呼びかけています。

五月病って知ってる？

 ここからはトークコーナー、今日のテーマは「五月病って知ってる？」です。皆さん五月病って知ってますか？この病気は、例えば病院に行って、お医者さんから「あなたは診断の結果五月病ですね」こんな風に言われることは、おそらくありません。正式な病気として認められているわけではないんです。でも、この五月病って、日本ではずいぶん昔から存在しているんです。

　では一体どんな病気なんでしょうか。日本では新入学や新入社というのは4月から行われますよね。4月から新しい生活が始まって、およそ1ヶ月経った5月頃にかかる病気が5月病なんです。

　症状としては、なんとなくやる気が出ないとか、とにかく、なんかだるいとか、心が晴れ晴れとしないとか、全てなんか、抽象的な感じの症状なんですよね。特別すごく体調が悪くなるとか、熱が出るとか蕁麻疹が出るとか、そういった症状はほとんどありません。主に気持ち的な問題が大きいようです。なぜ、こんなことが起こるかと言いますと、実はさっきも言ったように、この、4月から新しい生活が始まるっていうところにポイントがあるんです。4月から新しい生活を始めるために、その前の段階では、皆さん随分と頑張りますよね。例えば受験がある人は、1年以上も前から＊1コツコツと自分の希望の学校に入るために勉強をして、体力づくりもして、気持ちも頑張って作ってきましたよね。そして一生懸命勉強に時間を捧げて、とうとう試験の日を迎える。そして結果が出て4月から新しい生活が始まる。こんな感じだと思います。

　また4月から社会に出た人も同じように、自分の目標としていた会社に入るために、面接を受けたり、色々と研究したり＊2工夫したりして、とにかく4月からの新しい社会人生活のために、すべての時間と精神力を捧げてきたと言っても過言ではないかもしれません。

　4月が過ぎてそれぞれ新しい生活が始まりました。最初4月いっぱい、1ヶ月間はちょっと緊張感もありますよね。新しい学校や新しい会社に慣れるための努力です。仕事そのものもそうですが、周りの仲間や先輩などともこれからうまくやっていかなければならないので、その辺に十分に気を使っていると思います。そして一か月ぐらいたつと、まあ、なんとなく新しい生活にも慣れてきますよね。そう、そして5月を迎えるんです。

　5月になりますと、新しく始まった生活にも、もうなんとなく慣れてきました。そして4月になる前に頑張っていたような、猛烈な緊張感というのもなくなりました。つまり、大きく掲げていた目標もなくなり、毎日の緊張感も解れてきたのが、この5月なんです。そうなってきますと、なんだか急に心の緊張が解れたことで、すっかり＊3やる気がなくなってしまって、よく言うのは、緊張の糸がプツンと切れてしまった状態ということで、なんとなく何に対してもやる気や興味が失われてしまうということになるんです。これがいわゆる五月病なんですね。なんとなくこの五月病の人の心理、分かるような気がしますでしょうか？

　そもそも人間は、自分で目標を立ててから、努力してその目標を達成するまでには、時間や精神力を人それぞれではありますが、かなり使っていきますよね。

　代表的なものとしてよく言われるのが、オリンピック選手です。四年に一度の大会オリンピックに出場することももちろん大変ですが、オリンピックに出場して、ある程度の成績を残すことはもっと大変ですよね。でもすべての選手が自分の大きな目標を持って戦っているわけなんです。オリンピック選手になろうという人は、おそらく小さい頃からずっとその競技に自分の人生の全てを捧げてきているという人が多いと思います。いざ、自分の夢が叶って、オリンピック選手に選ばれて、そして大会に出場して成績を残す。もし、金メダルをとったりしたら、もう本当に＊4感激もひとしおですよね。

　ところが、小さい頃から長い時間をかけて追ってきた大きな目標を達成して、達成した直後ぐらいまでは、本当にその喜びに浸っていていいんですけど、しばらく経つと、もう人生の目標がなくなってきてしまって、これから何をしていいかが分からない、どんなふうに時間を過ごしていっていいのか見当もつかない。という人が結構出てきてしまうんです。

　これは「燃え尽き症候群」とも言われているんですね。目標を達成するまでに燃えに燃えていた精神が、とうとう目標を達成したことによって燃え尽きるというところからきています。

　この五月病も、もちろんオリンピック選手と比べれば小さなことですが、きっとこれに似ている精神状態なんじゃないかなって思うんですよね。

　人間ってやっぱり、複雑にできているもので、目標があったらあったで、それに近づこうとして、努力はしながら苦しさも味わい、目標を達成したら達成したで、今度は自分の精神の＊5拠り所がなくなってしまって、気持ち的にとても寂しい思いをする。どこをとっても平安な気持ちでいられるところが、ほとんどないですよね。人間をやるのも大変だなーって感じてしまいます。

　さて、この五月病なんですが、五月病にかかってしまったあと、一体どうなるかと言いますと、ご安心ください。ほとんどの方は五月病のような症状が出たとしても、時間が経つにつれて、その五月病も治るんですね。ですからまぁ、通常の生活にだんだん戻ってきて、自分が五月病になっていたことすら忘れてしまうっていうのが、大抵の場合です。やはり、この辺も人間はうまくできているなって思いますね。

　今、新しい生活が始まって色々な＊6戸惑いや目標をなくしてしまったことで、やる気が出ないという方もいらっしゃるかもしれません。特に今はコロナの問題で普段とは全く違う生活を強いられていますよね。人間は心の持ち方一つで、大きく生活が変わる場合もあります。とにかく自分にプレッシャーをかけすぎないで、リラックスすることを重視して、心と体の健康に努めていきましょう。トークコーナー、今日のテーマ「は五月病って知ってる？」でした。

＊1コツコツ＝孜孜不倦

＊2工夫（くふう）＝动脑筋

＊3やる気＝干劲

＊4感激もひとしお＝格外激动（高兴）

＊5拠（よ）り所（どころ）＝依靠

＊6戸惑（とまど）い＝不知所措，困惑