【日语共读】《心》夏目漱石(21)

【日语共读】《心》夏目漱石(21)

00:00
04:23

  その時の私(わたくし)はすでに大学生であった。始めて先生の宅(うち)へ来た頃(ころ)から見るとずっと成人した気でいた。奥さんとも大分(だいぶ)懇意になった後(のち)であった。私は奥さんに対して何の窮屈も感じなかった。差向(さしむか)いで色々の話をした。しかしそれは特色のないただの談話だから、今ではまるで忘れてしまった。そのうちでたった一つ私の耳に留まったものがある。しかしそれを話す前に、ちょっと断っておきたい事がある。


    那时我已经是个大学生,比初到先生家时更有成人气,而且同夫人也相当熟了。在夫人面前,也不感到怎样拘束。我们说了很多话,不过都是一般闲聊,现在全忘了。其中我只记得一件事,但在谈它之前,我想先放一下。


    先生は大学出身であった。これは始めから私に知れていた。しかし先生の何もしないで遊んでいるという事は、東京へ帰って少し経(た)ってから始めて分った。私はその時どうして遊んでいられるのかと思った。


     先生是大学毕业,一开始我就知道。但是先生无事赋闲,却是回到东京过了一些时候之后才知道的。那时我就想过,他怎么你那个闲的住呢?


     先生はまるで世間に名前を知られていない人であった。だから先生の学問や思想については、先生と密切(みっせつ)の関係をもっている私より外(ほか)に敬意を払うもののあるべきはずがなかった。それを私は常に惜(お)しい事だといった。先生はまた「私のようなものが世の中へ出て、口を利(き)いては済まない」と答えるぎりで、取り合わなかった。私にはその答えが謙遜(けんそん)過ぎてかえって世間を冷評するようにも聞こえた。実際先生は時々昔の同級生で今著名になっている誰彼(だれかれ)を捉(とら)えて、ひどく無遠慮な批評を加える事があった。それで私は露骨にその矛盾を挙げて云々(うんぬん)してみた。私の精神は反抗の意味というよりも、世間が先生を知らないで平気でいるのが残念だったからである。その時先生は沈んだ調子で、「どうしても私は世間に向かって働き掛ける資格のない男だから仕方がありません」といった。先生の顔には深い一種の表情がありありと刻まれた。私にはそれが失望だか、不平だか、悲哀だか、解(わか)らなかったけれども、何しろ二の句の継げないほどに強いものだったので、私はそれぎり何もいう勇気が出なかった。


     先生简直是在社会上默默无闻的人。所以他的学问和思想,除了同他关系密切的我之外,是不会有人知道从而对他身怀敬意的。我常常说这很可惜。先生并不以为然,只回答说:“像我这样的人,到社会上讲话,是办不到的。”在我听起来,他的回答过于谦虚,反倒像是对社会的讥讽。其实先生对那些现在成了名的老同学,常常抓住一个就毫不客气的给予批评。所以我就好不掩饰的指出这个矛盾来一通议论。我的精神与其说是对抗的,倒不如说对人们不理解先生却还心安理得感到遗憾。那时先生与其深沉的说:“总之我是个没有资格为社会服务的人,只是无可奈何的。”一种深沉的表情,清晰的刻在脸上。我不知道那时失望、不满还是悲哀,然而却坚定的使我无言以答,也没有勇气说什么。

以上内容来自专辑
用户评论
  • 熱心市民L小姐

    せんせぃ。老师吗?

    日本物语 回复 @熱心市民L小姐: 对的o